
9月号 Vol.341【御国が来ますように】

Written by 藤浪義孝牧師
この大国は、人種差別、社会的不平等、医療アクセス、経済格差と貧困の急拡大、法律と秩序、生命倫理的問題、不法移民など深刻な問題を抱えています。有権者である国民は、次期大統領を直接選ぶ選挙人団(州ごとに選ばれる538人)のメンバーを選出する責任をしっかりと弁えて投票に臨みます。
穂長月のこの時期、私たち国民が思い起こすべきことは、神に由来しない権威はなく、神の主権はあらゆる権威の源であることです。
国民の顔色を伺う政治家とは違い、まことの神は誰にも権威の根拠を求めることも、誰の許可も必要とされないと聖書は教えています。
イエスキリストは、現在の米国が抱えている深刻な問題以上の問題を抱えていた1世紀のローマ帝国領地の住民、特にローマ帝国からの解放を望んでいた人々に、祈るべきことを教えられました。当時のほとんどの人々は、地上の党派的な王国を求めていました。ユダヤ人はダビデ王国の再建を熱心に望みました。 ローマ帝国を倒し、ヘロデを退け、イスラエルの支配を再び確立することを切に望んでいたのです。 宗教家、政治家、民衆の祈りは、常にそのような王国のために向けられていました。それでイエスは、神に王を立て、王国を再建してくださるように祈る当時の祈りの願いの重点を移されました。
「(あなたの)御国が来ますように。」(マタイの福音書6章10節)
イエスは、政治的な王国のためではなく、神の国のために祈るように教えられました。 その祈りは、すべての人間の心の内側から父なる神が支配される現実のためのものでした。そして、父なる神が全ての人の内側を支配されるならば、やがて政治や社会に影響を与え、国社会は抜本的に変えられることになるのです。
イエスが弟子たちに願うようにと言われた御国は、人種、国粋、ありとあらゆる境界を越えた王国です。いつの日かこの世に到来する神の国のことですが、イエスが言及している神の国は、あらゆる時代のあらゆる場所の人々の心と魂に、神の支配が君臨することでした。
父である神の導きがなければ、人間の支配だけでは、争いや分裂は無くなることがなく、続行することをイエスは知っておられました。神の国はすべての国や全ての民族を公平に包含するのです。 神の支配の下では、一つの平等な尺度がすべての国や民族に拡大されるため、正真正銘の公正がすべての人に臨みます。 どこにでも居られる親愛なる父なる神に人々の心が支配されるために、すべての政治的構造が良い影響を受けるのです。
「御国」の語源の動詞は、「助言する」です。 神の国は、神の主権的な助言を示すものです。 神の国は、父なる神の導きが実行される状態なのです。
大統領選挙の情勢の激しさが増し、分断する混乱のうわさに世間が揺れ動く中で、私たちは身を慎み、父なる神の助言に心を開き、このお方の知恵と導きに心を調整するのです。神の国は私たちの内側から始まるからです。
イエスは教えられました。「だからこう祈りなさい。『天にいます私たちの父よ。御名があがめられますように。 御国が来ますように。みこころが天で行われるように地でも行われますように。私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください。 私たちの負いめをお赦しください。私たちも、私たちに負いめのある人たちを赦しました。私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』」(マタイ6章8節―13節)
今月の証
「聖書に書いてある」
ロサンジェルスのある教会は会堂がなく、いつも公の施設を借りて礼拝を守っておられますが、私たちが伺わせていただいた日はそこも借りることができず、公園で行うことになっておりました。ですから、炎天下だったり、雨が降ったり、風が吹いたり、人間的な心配事は多々ありましたが、主におゆだねして臨みました。朝早くから公園に行き備えていたところ、電機システムがなかなか使用できず、「10分したら使えます」その後「30分したら使えます」その後私たちも耳を疑いましたが、「前日に使用した人が壊して帰ったので今日はこのシステムを使うことができません」私たちは言葉も出ない状態でしたが、主は良いお方です。次のアナウンスが「ですからどうぞ隣接している使用料の高い会場を無料でお貸ししますので、そちらをお使いください」ということで冷房・トイレが整えられ私たちの心配もすべて守られ賛美させていただきました。


またA牧師(女性牧師)宅でのホームコンサート終了後に、お交わりの時間の中で、彼女のご主人が3年間うつ病に苦しみ今年2月に召された壮絶なお証をお聞きしました。3年間の闘病生活は想像を絶するものです。主人が召されて1週間絶望と悲しみ、虚しさに襲われておりましたが、主がご主人を痛み苦しみから解き放ち、御国で天使たちと歓びの讃美を歌い、牧師である彼女に対しても主は「最善を尽くした」よくやった!と心を解放してくださり、主の御言葉に励まされ、次の日から元気になられたそうです。信徒から先生頑張らなくていいですよ。ゆっくり休んでくださいと言われたそうですが、牧師本人は主の愛に包まれ明るさに満ちておられました。牧師・宣教師であるからこそサタンの強い攻撃と主の訓練を受けます。どのような時でも主とどのように交わりを持つかが大切です。私たちも特別な交わりの中、お互いに祈りあえる時間を持てたことは感謝でした。み言葉にこそ勝利があるのです。
サンディエゴでは、今年4月から開拓をはじめられた教会でのコンサートでした。当初予算がないので、図書館の公共施設で行う予定でしたが、あるピアノの先生が、生徒の発表会で使用することになっていた、ピアノ展示場にあるホールを譲ってくださったのです。ですが費用が掛かるので牧師夫妻は祈り、導きを確信し、そのホールで行うことを決断されたようです。会場に入ると、きちんと調律されているフルコンサートグランドピアノがおかれており、うれしくて心躍り感謝でしたが、反面プレッシャーが重くのしかかってきました。
開拓を始められて4か月。初のイベントを私たちに託されたのです。とても緊張しましたが、祈りつつ主にゆだね、一曲一曲心を込めて賛美させていただきました。
実はこのコンサートには別の意味と役割が与えられていました。牧師夫人のご家族・親戚が日本からいらしており、4人の未信者に福音をお届けすることができました。又お母様はクリスチャンですが渡米前にガンが数か所転移していることを告知されていたのです。
私たちの演奏と証そして交わりを通してガンのお母様も、力と元気をもらいましたと言っておられましたし、皆さん満面の笑みで神様がおられるのだとわかりました、とおっしゃってくださいました。
そのみなさんが、帰国されるとき、牧師夫人である娘さんが、今回の旅行で何が一番良かった?と尋ねられたそうです。そうしましたら、気球に乗ったことでも、ドジャースの試合で大谷選手を見たことでもなく「高瀬さんたちのコンサート!!」と言われたそうです。
私たちも主からの励ましをいただきました。紙面ではご紹介できないほどの祝福でした。ツアー最後のマキキ教会では、日本からサンディエゴ開拓のため移動中のK牧師ファミリー6人をサポートさせていただきました。この牧師家族は長男(高校2年生)が日本に残ると言っていたにもかかわらず、大きな決断をもって同行されておりました。ところが、飛行機キャンセルに伴いハワイ初上陸12時間の乗り換えのために助けてほしいと前日に日本からメールを受け取り、時差もあるので数時間でマキキの役員の人たちと連絡をとり準備いたしました。お子さん4人にとってまた牧師夫妻の新しい出発の時に、愛をもってサポートできたことは感謝でしたし、私たちは1年に2-3週間しかマキキ教会にいられませんが、マキキの役員の方々と共に前からだけではなく、後ろからも仕えることができたのもとても感謝でした。二人ともに奉仕とは別に精神的な面でサタンの巧みな攻撃を受けておりましたが、支えられ・健康もまもられました。これまでのお祈りに、言葉に言い尽くせぬ感謝を申し上げます。
聖 書:イエスは悪魔に答えられた。「あなたの神である主を礼拝しなさい。主にのみ仕えなさい。」と書いてある。 ルカ4・8
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