1月 31, 2023 | 天主閣便り

01月号 Vol.323【新年の抱負】

Written by 藤浪義孝牧師

新年明けましておめでとうございます。
アメリカでは毎年の大晦日にNew Year’s Resolutionという言葉をよく聞きます。新しい年を迎えるにあたり、「新たな目標を立てて固く決意する」と訳することができるでしょう。日本語の「新年の抱負」にあたるフレーズです。あなたの今年の抱負は何ですか。新年の抱負というのは、日が経つにつれ低下していきます。しかし私たちのモチベーション低下を防ぐ助けがあります。その一つは、私たちの家族と友人のサポートです。私たちの教会は今年「相互の交わり」を抱負として新しい一年を歩み始めました。パンデミックの影響は今もなお続いています。強いストレス、喪失から生じる様々な精神的疲労、不安感、対人恐怖に苛まれている人が社会で増加している中で、人々は何のために生きているのかという問いを考え始めています。その意味で今年はポストパンデミックの備えの年であるのかもしれません。だからこそ、互いに励まし合うことの重大さを思い起こし、良い人間関係を育み互いに愛し合うことで、神の愛を表したいと切に望んでいます。「互いに勧め合って、愛と善行を促すように注意し合おうではありませんか。ある人々のように、いっしょに集まることをやめたりしないで、かえって励まし合い、かの日が近づいているのを見て、ますますそうしようではありませんか。」(ヘブル人への手紙10章24節-25節

この勧告は、激しい迫害と苦しい生活状況によって否定的な影響を受け、心に深い傷を負っていた人々に宛てられたものです。肉体的そして精神的な衝撃で、誰にも頼れないという心理が働き、ひとりで悩み、ひとりで抱え込んだのでしょうか。

人と関わりたくない思いが強くなり、一緒に集まることをしなくなりました。それ故に「いっしょに集まることをやめたりしないで、かえって励まし合いなさい」と著者は勧めました。別れ別れになって離れ離れになると、考え方が偏見になりやすくなります。中には、罪を他者になすりつけることや相互の交わりがないために、自分で事実を調べてもなく誰かから聞いたことを鵜呑みにしてしまいやすくなり、ネガティブな考え方に傾いていきます。自分の苦しみや原因を他者に追わせる苦難な時代だからこそ、互いに寄り添い、深く関わり合い、自分たちの頼みとなるものを分かち合うサポート体制が、どれほど私たち人間にとって力になることかお分かりだと思います。

そのことをよくわきまえている私たちの教会は、この3年間できなかった愛餐会(昼食を共にして親交を深める)を持ちます。3年間のブランクは大きいですが、神の愛に動機づけられた。このトライアルは必ずポジティブな結果を生み出すでしょう。相互の交わりのことに思いを寄せる時、私たちの助けはどこから来るのだろうかと自問した詩篇の著者を思い出します。キリスト降誕節に、私たちは神ご自身が相互の関係にある私たちと共におられることに思いを潜めました。新年の初めに、天地を造られた主である神が私たちの助けです。私は山に向かって目を上げる。私の助けは、どこから来るのだろうか。 私の助けは、天地を造られた【主】から来る。主はあなたの足をよろけさせず、 あなたを守る方は、まどろむこともない・・・【主】は、あなたを守る方。【主】は、あなたの右の手をおおう陰。 昼も、日が、あなたを打つことがなく、夜も、月が、あなたを打つことはない。【主】は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。【主】は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。

互いに愛し合い、互いに励まし支え合う相互の交わりを大切にして、ご一緒に歩んで参りましょう。神があなたを豊かに祝福し、新年の抱負が他者の祝福に繋がるものでありますように。

 

「今月の言葉」

「わたしたちの交わりは、、御父と御子イエス・キリストとの交わりです。」
(ヨハネの手紙 第一 一章三節b)

今月の証「私の人生に欠けていたもの」

Written by ヴィラトロ苑美

ノンクリスチャン時代の私の人生は、とてもディスパレートなものでした。まさに荒波の中で必死にもがいているイメージ。心が飢え乾いている、足りないものを求めて彷徨っている、常にそんな感覚で、どこにいても自分の居場所ではないような気がして、いつも「ここではないどこか」に行きたがっていました。その空虚感を何とかして埋めようと、必死に刺激を追い求めたり、自分の存在ごと消えてしまいたいと願ったり。そして周囲の人たちは、その私に足りないものが何なのかを不思議がっていました。学生時代にお世話になった先生には「君のその満たされなさは一体どこから来るんだろう?自分のやりたいことを見つけて仕事で認められるようになったら満足できるかもしれないね。だから今はとりあえず(目の前の勉強などを)頑張るしかないよ!」とアドバイスをされたこともありました。自分でも足りないものが何なのか分からず、結局は他人からの承認によって一時的に感じる満足感にしがみついては、時には高みを目指したり、また時に絶望したり、そうやって一喜一憂しながらやみくもに生きていました。クリスチャン人口の少ない日本ではなかなか「あなたの人生に欠けているものは神様よ!足りないのは信仰よ!」と気付かせてくれる人や環境がなかったのです。

ローマ人への手紙5章2‐5節

そしてハワイでマキキ教会と出会い、信仰を持つに至ってから丸4年経った今の私ですが、自分の人生に足りなかったものは「神様への信仰」だったのだと、今はっきりと確信しています。洗礼を受けた直後からそのような感覚があったわけではありませんが、その頃から神様中心に物事を考える癖がつき始め、じわじわと心に空いていた穴が満たされていったように思います。そして、昔の自分のように神の愛を知らないことで生きづらそうにしている人を目にすると「この人も早く神様に出会えますように」と祈る自分がいます。

洗礼を受けてからの4年間の間にも辛いことは様々ありました。でもそこには必ず神のご計画があること、恵みの試練であること、祈りながら神様と一緒に乗り越えていけばいい、という安心感があることで、以前のようにアテもなくもがき苦しむことはなくなりました。大海原の荒波の中で溺れかけている自分ではなく、コーチの指導の下で厳しいトレーニングに耐えている自分というイメージです。だから少々キツくても、
どこか安心感があり、力が湧いてくるのです。望むものが手に入らなくて悲しい思いをした時でさえ「これは神の御心ではなかったのだな」と納得して前に進むことが出来ました。そして後になってから、その時に欲しがっていたものより遥かに良いものが今、与えられていることに気付くのです。

今の自分は旅の途中でまだまだ成長段階にあり発展途上な存在です。でもそこで日々感じるのはけして以前のような「足りないもの」を感じさせる空虚感でも「ここではないどこか」へ行きたいと願う居心地の悪さでもない。むしろ神様とともに歩める「喜び」「平安」「希望」であり、「感謝の気持ち」と「愛」で満たされた心です。これは人間によって与えられる一時的な満足感ではない、終わることのない、神様から来るもので、再び欠けることはないと私は知っています。

「このキリストによって私たちは、信仰によって、今立っているこの恵みに導き入れられました。そして、神の栄光にあずかる望みを喜んでいます。それだけではなく、苦難さえも喜んでいます。それは、苦難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと、私たちは知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。」(ローマ人への手紙5章2‐5節)

編集後記

25年ぶりに天主閣便りのフォーマットをかえました。和文タイプからワープロへ、そしてパソコン時代に突入してからも同じテンプレートを使っていましたが、マキキ教会もウェブサイトが充実し、よりスムーズに、より簡単に編集作業ができるよう前進しました。時代の流れに追いつくことは、なかなか難しいですが、神さまが用意して下さったツールをイエス様を伝えるために今年も若い方々に教わりながら文書伝道を続けていきたいと願っています。質問、ご意見、なんでも受け付けます。ご家族、お友達にも配布してくださるようお願いします。今年最初のお証は、サンデースクールのご奉仕を受けてくださった苑美さんの、素直で美しい証しです。皆さんも是非年の初めにお書きください。

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