11月号 Vol.332【健全な価値観】
Written by 藤浪義孝牧師
人間の価値観の軸となる世界観が三つあります。それは「無神論」、「汎(はん)神論」、「有神論」です。「無神論」は文字通り、神の存在、超自然的な概念などの存在を否定する考え方です。「汎神論」は、すべては神であり、神はすべてであり、神は無限であり且つ非人格であり、すべてのものは、すべてを包含するという考え方です。「有神論」は、無から有を創造し、天地を創造された神は無限であり、人格をもった神が存在するという考え方です。あなたの世界観はどれに当てはまりますか。ここで「無神論」を1、「汎神論」を2、「有神論」を3として「命」について夫々の世界観の考え方に触れます。
①. 「なぜ無ではなく有が存在するのですか。」1「常に何かが存在していた。 宇宙は時間と空間と偶然の産物である。」2「存在するもの全てが神であり、神は宇宙に特定されている」3「人格的な神は、存在する全てを無から創造された。神は被造物から分離している。」
②. 「なぜ人間は存在するのですか。」1「人間は限られた宇宙における偶然の産物に過ぎない。」
2「すべての存在がそうであるように、人間は神の現れである。」3「人は神によって創造され、人以外の被造物とは異なる。」
③. 「人間の尊厳の根拠は何ですか。」1「存在的には何もない。相対的に、人間は進化の最高峰である。」2「別に何もない。」3「神の似姿に創造された人間は、創造主と個人的関係のために存在する。」
④. 「人間が考え、意志を持ち、感情を持つという人格の基礎は何ですか。」1「存在論的には、何もない。相対的に遺伝子形成と条件付け。」2「人間は幻想である。人間は神の統一に入るために人格を捨てなければならない」3「創造主は理性、思考、意思、感情を持つ。人間は神の似姿である。」
⑤. 「理性と合理性(道理にかなった性質)が存在する理由は何ですか。」1「本質的には何もない。相対的に言語・遺伝子形成・実用主義」2「理性は幻想にすぎない。神の最終的な実在は、体験と非理性的なものである。」3「神の理性は人間の理性を超えているが、理性は神の本質に基づく。」
⑥. 「道徳的意識(良心)が存在する理由は何ですか。」1「社会的条件づけ」2「最終的な意味で、道徳意識は幻想である。」3「人間は堕落し、条件づけられてはいるが、道徳意識は神の似姿を反映している。」
⑦. 「倫理、道徳、価値観の基礎は何ですか。」1「相対主義」2「存在論的には何もない・相対的にはカルマ(因果の法則)。」3「神の道徳的性格、律法、聖書、コーランに啓示されている。」
⑧. 「なぜ宇宙に悪が存在するのですか。」1「物理的な悪は普通である(災い)道徳的な悪は、個人や社会の認識によって決まる。」2「神はすべてであるため、悪は存在しない。カルマの法則:恣意的(しいてき)(自分の思いや思いつきにまかせる)」3「道徳的悪は、有限な人格者(ルシファー「堕落天使」・アダム「人間」)の自由意志に由来する。物理的悪は道徳的悪の結果である。」
⑨. 「幸福、喜び、美的感覚の基礎は何ですか。」1「遺伝子形成・社会的条件づけ」2「人間の喜びは神から切り離されている。真の幸福は神との一体化(涅槃[ねはん]―輪廻等)によってのみ得られる。」3「神の似姿である人間には美的感覚が備わっており、神と被造物を楽しむために創造された。」
⑩. 「宇宙における一個人の位置付けに関する問い:一致と多様性の問題に何と答えますか。」1「すべてはひとつ。人間には自由がない。決定論(運命は完全に決まっている)。すべては多様性と混沌。人間は不条理な宇宙に浮かんでいる。」2「最終的になるはひとつ。すべての個性は幻想である。」3イスラム教「決定論」、キリスト教「三位一体としての神は、ご自身に一致と多様性が完全に備わっている。ひとつも多も意義がある。」
今月号は、「命の基本的な問い」に対する主要な世界観の回答に触れました。世界観は私たちの生き方に影響します。紛争と暴力で国家間並びに国内集団間が揺らぐ中で、私たちが抱いている世界観を考え直し、揺らぐことのない健全な価値観に腰を据えているかどうか、今一度吟味することが求められているのではないでしょうか。
今月の証
マキキ教会の皆様、
どうぞよろしく
お願いいたします。
ある日の祈祷会で喜んでいる先輩の方の証しで心揺さぶられて、泣きながら、岩井清牧師のもとに、罪の告白と主の受け入れをしました。私には出来ない事でしたが、何かに背中をおされた感じでした。1982年のクリスマスから4年後の事でした。そのあとが大変でした。何かを待っていたように、母親、65歳でがん宣告です。2度の手術後、担当医より、取ったものからも、ガンがみつからないと勇気ある言葉を頂き、皆さんの祈りによって、主が働かれたと思いました。ステージ4の卵巣ガンからの復帰でした。その後の母親は、腸閉塞、腸捻転、大腸ガンと75歳まで戦って90歳で召されました。主の母親への介入を信じる信仰が私の支えです。
主は本当に弱い我が家に共にいてくださいます。長女の交通事故死の時、次女、長男の先の見えない海外生活にも。また私の母親介護で、主人と15年間、神奈川と青森との離れた生活の時も。また今、私は、次女の子Renzaの世話でホノルルにいます。主人は退職して、私の残して来た畑仕事に追われ、青森とホノルルが毎日のラインコールでつながっています。
すべて、主の支えなしには成り立たない生活です。主に感謝します。
「わがたましいよ、主をほめたたえよ。主のしてくださった事を何一つ忘れるな」
詩篇103篇2節
関連記事
Related
10月号 Vol.342【敬老】
先月の休暇中、母を訪ねました。母は今年米寿を迎えました。一日一日と日を追って記憶力の低下や身体機能の低下が進んでいます。寝たきりになり、介護者に100%依存している母の姿に、とても悲しくなります。10年以上お世話になっている老人ホームを訪ねた際、母に敬意を表し、母の尊厳を守り続けてくれている介護士さんたちに感謝の気持ちを伝えました。 ある日、食堂で母に食事を与えるのを手伝っていたとき、他の高齢の入所者たちが、心のこもった温かいケアーで介護士さんたちから給仕してもらっている横で、私は聖書の一巻、レビ記19:32を思い出しました。...
9月号 Vol.341【御国が来ますように】
米国大統領選挙テレビ討論会が今月と来月に開催されます。他の国々にとって対岸の火事でない米国大統領選挙は、国内政治経済だけでなく、世界政治経済に大きな影響を与えるものです。これまで、アメリカ国民は、大統領候補者の資質と、候補者を支えるキープレイヤーチームの能力、そしていかに資金を集められる経営能力があるかを見極めてきました。今回のテレビ討論会は重要な国際問題や国内の課題の本質について深く掘り下げて議論を戦わせるでしょう。両大統領候補者とも、国民全体の心を動かし、力づける資質があることを示すために全力で取り組みます。...
8月号 Vol.340【人生はひとりでするものではない】
パリ・パラリンピック開催まであとわずかです。第二次世界大戦で負傷した兵士のためのリハビリテーションにスポーツを取り入れたことが発端となり、1948年ロンドンオリンピック大会時に車椅子選手のアーチェリー大会からパラリンピックは発展しました。困難なことがあってもあきらめず、支える人たちの懸命な支援とアドバイスに創意工夫と思考を凝らすアスリートたち。その姿は、新たなインスピレーションを私たちにもたらします。...