7月 11, 2024 | 天主閣便り

7月号 Vol.339【オリンピック選手に学ぶ】

Written by 藤浪義孝牧師

第33回パリオリンピック競技が今月26日から17日間の間、パリで開催されます。先月、米国各競技部門の予選大会を観戦しました。オリンピックの出場権獲得を目標に、選手たちは失敗に甘んじず最後まで貫き通しました。全力を尽くす姿に、彼らの信念、日頃の訓練と努力の積み重ねによって培われた強い精神力を感じます。

4年に一度開催されるオリンピック競技のために、出場選手たちは、生まれ持った資質をより完全に発揮させ、個々の要素(身体的、精神的、神経調節など)を最高レベルまで引き上げられる状態に到達させるための十分な訓練をしています。私は、訓練を積み重ね、競技力を試合で発揮する選手たちと、自分自身の人生と個人的な挑戦を並行して競技を観るようにしています。

2010年の冬季オリンピックで、女子スプリント・クロスカントリー競技に備え、 早朝の練習中に転倒した選手がいました。

スロベニアのペトラ・マジッチさんはコースを外れ、谷岩の上に転倒し、 超音波検査では肋骨骨折は確認できず、手当てを受けた後、彼女はコースに戻って滑走を続行し、 数時間後、彼女は予選3レースと決勝の計4レースに出場しました。 彼女はコースに戻り、痛みに苦しみながらも準々決勝に勝ち上がり、準決勝では、折れた肋骨の1本が肺に突き刺さり、気胸しました。この耐え難い痛みにもかかわらず、彼女は3位で決勝に進み、銅メダルを獲得しました。レース終了時、彼女が痛みに耐えかねて雪に倒れこむのを見ました。肋骨を4本折った状態で4レースを滑ることを想像してみてください。 これには相当な決意と精神的なタフさが必要です。 しかし、彼女の長年の訓練によって養われた心痛、肉体的苦痛に耐える能力が実を結び、メダルを獲得することができました。

人生は陸上競技に例えることができるでしょう。新しい体験にワクワクする時があります。爽快に走る時もあるでしょう。時にはコースを外れ「岩の上」に転倒し、先が真っ暗で見えなくなるほど、精神的苦痛、肉体的苦痛を感じるときもあります。あまりの辛さに絶望感を感じて匙を投げたくなることもあるでしょう。しかし、ゴールの方向がわかっていれば、どれぐらい距離があるかわからなくとも、進んでいくことができます。

かつてのギリシャの競技者は、競技に備えるためにトレーニング効果のために、重量ベストを着用しました。しかし、重量をつけると動きが鈍くなるため、実際に重量をつけて参加する競技者はいませんでした。現代で例えるなら、野球選手が打席に立つ前に重い金属製のバットリングをつけたバットを振るようなものです。確かに重量が重すぎると持久力が落ちます。

私たちが競技で賞を受けるために取り除くべき「重り」とは何でしょうか?私たちの進歩を妨げるすべてのものです。それは他人から見れば「良いもの」かもしれません。オリンピックのメダリストは、競技に勝利するために、良いものと悪いもののどちらかを選ぶのではなく、より良いものと最高のもののどちらかを選ぶのです。挑戦は自分を鍛えるための機会であると意識することから引き離す全ての重荷、悲観的思考や望ましくない行動を捨てるのです。

「正しい者は七たび倒れても、また起き上がるからだ。」(箴言 24:16) と聖書に書かれている通り、正しい人が何度倒れても、また、その倒れ方が完全かつ全く取り返しのつかないように見えても、その挫折は一時的なものに過ぎないということです。その人は再び立ち上がるのです。

あなたの人生の挑戦が何であれ、聖書が証言する信仰の創始者であり完成者である主イエスキリストに目を留めることをお勧めします。 キリストと同じように、あなたが心を失い、疲れ果てることがなく、試練に耐えられるように、キリストが十字架上で耐え忍ばれたことを思い起こすのです。私たちは、欠点や失敗によって落ち込んだり、落胆したりする必要はありません。キリストによって、罪や死を含むあらゆる敵に打ち勝つ究極の勝利が約束されているからです。

「競技場で走る人たちは、みな走っても、賞を受けるのはただひとりだ、ということを知っているでしょう。ですから、あなたがたも、賞を受けられるように走りなさい。また闘技をする者は、あらゆることについて自制します。彼らは朽ちる冠を受けるためにそうするのですが、私たちは朽ちない冠を受けるためにそうするのです。」(コリント人への手紙第一 9章24-25節)

今月の証
「私の財産」
Written by 桑子・里美
私は、来月7/6に、娘の芽衣子と犬猫を連れて、日本に帰国する事になりました。 NYに9年、ハワイに28年、通算37年。こんなに英語の苦手な自分が、人生の大半を米国で過ごす事 になるとは、思いもしませんでした。 1996年5月、娘の3歳の誕生日を祝い、両親に別れを告げて、ハワイのWedding会社で働く事に なった夫に同行し、再出発の為に、このハワイにやって来ました。住んでいた家の近くの公園で、山 口ファミリーの長女美和ちゃんと、ママの秀美さんに出会いました。その頃は、まだ奈美ちゃんも、は じめ君も生まれてなくて、芽衣子と同じ、一人っ子の美和ちゃんでした。その後、離婚のことで、悩ん でいた私たちに、家族ぐるみで、我慢強く、寄り添い、何時間も話を聞いて慰めて下さり、夕食を提供 して下さり、毎日祈って下さり、日曜には教会に連れて来てくれました。 礼拝の牧師先生のメッセージが、毎回、まるで自分のことを言い当てられている様に感じて、涙が溢 れました。そして、2003年12月、教会に行き始めて2ヶ月後くらいだったかと思いますが、礼拝の終 わった後、無意識に牧師先生に駆け寄り、涙ながらに、イエス様を心に受け入れる事を伝え、その場 で祈って頂きました。その後、洗礼準備クラスで学び、翌2004年のEasterに受洗しました。
「イエス様を知る事が出来たことは、最大の幸福」

その年の夏、娘と一緒にノースショアのキャンプに参加し、そこで悦子姉妹のミニチャーチに誘って 頂きました。その週の礼拝メッセージと手引きをもとに、御ことばの意味や日常生活への適応など話 し合うとともに、ちょうどその頃、メンバーの大半が、成長期の子供を抱えていたので、子育ての悩み を打ち明け合ったり、色々な家族の問題を祈り合ったりしました。

時には、BBQやお好み焼き、鍋 パーティーなどして頂き、家族ぐるみで、楽しい時を過ごさせて貰いました。 また、月に一度の家庭集会では、牧師先生を囲んで、ポトラックの夕食の後、賛美と聖書の学びを し、教会では中々出来ない、ゆったりとした良い交わりを持つ事が出来ました。 やがて、子供たちも高校、大学となり、日本からの留学生たちを迎え、恵美姉妹の指導のもと、学生 バイブルスタディーが始まり、お母さん達も、夕食作りのご奉仕をさせて頂き、とても祝福されました。 レインボーコネクションやECを通して、子供達は、本当にクリスチャンとして成長し、神様のみわざに 感動しました。また、スチュワードシップのご奉仕をきっかけに、カウンシルにも参加させて頂きまし た。こんな自分に、できる筈がないと、躊躇しましたが、たくさんの先輩姉妹が、背中を押して応援し て下さり、祈ってくださったので、神様はその都度、助け手を送られ、教え導いてくださいました。この カウンシルの仕事を通して、少しだけ、キリストの御身体の一部として、働く事が出来た気がします。 教会を内側から見られるチャンス。。。と言っていた先輩姉妹の言葉を実感できました。また、短期間 ではありましたが、貞姉妹の会計助手としてやらせて頂いた、連合のご奉仕も、ハワイの日本語教 会を知る良い経験となりました。 今、ハワイでの28年を振り返り、苦い挫折の経験や人間関係の苦難もありましたが、それらによって 導かれたマキキ教会での20年は、平安で愛に満ちた日々でした。 私にとって、イエス様を知る事が出来たことは、最大の幸福。そして、マキキ教会の皆様と出会い、 共に過ごせた日々は、私の財産です。本当に、お世話になりました。ありがとうございました

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